除菌の適応疾患
保険診療でHelicobacter pylori(H. pylori)の検査や除菌治療ができるのは,
現在,(1) 胃潰瘍・十二指腸潰瘍,(2) 胃MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫,(3) 特発性血小板減少性紫斑病,(4) 早期胃癌に対する内視鏡治療後に限定されている.
除菌判定
除菌治療後のH. pylori感染の診断に当たっては,尿素呼気試験およびモノクローナル抗体を用いた便中H. pylori抗原測定が有用である.
プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)やウレアーゼ阻害作用を有する防御因子増強薬は,投与されている場合,
偽陰性となる可能性があり,少なくとも検査前2週間は中止する.
除菌レジメ
一次除菌治療は,PPI+アモキシシリン(amoxicillin ; AMPC)+クラリスロマイシン(clarithromycin ; CAM)を1週間投与する3剤併用療法で,
二次除菌は,CAMをメトロニダゾール(metronidazole ; MNZ)に変更する(Table 1)1).
除菌による副作用
下痢,軟便,味覚異常,舌炎,口内炎などの副作用が15~66%と報告されている2).
また,2~5%に出血性腸炎,発疹,喉頭浮腫などの治療中止となるような強い副作用が発生し,特にペニシリンアレルギーに注意する.
MNZは飲酒によりジスルフィラム-アルコール反応が起き,腹痛,嘔吐,ほてりなどが現れることがある.
さらに除菌薬は,ワーファリン(R)の作用を増強し出血などが現れることがあるので注意を要する2).
除菌率に影響する因子
服薬コンプライアンスおよび薬剤感受性のほか,酸分泌能,CYP2C9の遺伝子多型を主体とする肝代謝酵素の影響,